財務諸表の正しい見方

 企業の状況を表すものの一つに財務諸表があり、「損益計算書」がある。損益計算書は、一般に当期の企業の通信簿とも言われており、企業の成績であると言われている。
 
 自分も大学時代に会計科の出身(もうはるか昔です:苦笑)だし、簿記もとりあえずやったんだけど、私は損益計算書の見方には深い意味があると思っている。
 
 深い意味とは?
 その前に少し、またドラッカーに登場いただく。
 
 企業は何のために事業を行うのか?
 ドラッカーの言葉にこの二つがあり、とても感慨深い。
 
 『顧客を創造する』
 『貢献に焦点を当てる』
 
 ①『顧客を創造する』
「事業とは何かを理解するためには、事業目的から考える必要がある。
事業の目的は企業の外にある。企業が社会の一機関である以上、事
業の目的は社会に求めなければならない」
「事業の目的として有効な定義はただ一つである。それは、顧客を創造
することである」
 
 ②『貢献に焦点を当てる』
 「成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。
手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える
貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える」
 
 ②については、組織に勤める人間のプロフェッショナリズム論とも言えるが、“自ら”を「自社」と置き換え、“組織”を「社会」と置き換えることも出来ると思う。
 
 そうしたときに、企業の「売上」とは何で、「利益」とは何なのか?私は次のように考える。
 
 ●売上とは?
 “売上”とは、(企業の)社会貢献への“バロメーター”
 
 ●利益とは?
 “利益”とは、「その活動を次回も続けて良いよ」という顧客からの“メッセージ”
 
 こうしてみると、売上が低迷するのは、「社会善」を提供できていないということであり、利益が上げられないのは、「もう(事業)やめたら?」というメッセージかもしれない。
 事業は独りよがりなものではなく、相手(社会)への貢献がないと成立しないのである。
 
 簿記的な経営分析も良いけど、その裏のメッセージを読み取ることが、真の事業家としての「経営分析」かな。