オープンイノベーションに必要なこと

企業が本気で「オープンイノベーション」を起こしたいと思うなら、企業は少なくとも二つの固定概念を変革する必要があると思います。

一つは、社員をソーシャルリーマン(ソーシャルなサラリーマンの意)化させること。
ここでは「ソーシャルリーマン」は、”社外に出て価値創造できるサラリーマン”と定義します。自分の組織の文脈を超えて価値創造するわけですから、プロボノやフューチャーセッション、ハッカソン、等の多様な人たちとのプロジェクト(価値創造)の経験を積んでおく必要もあると思います。新規事業を自分の部署を出て社内ボランティアで行った経験も、いい練習の場になります。
自分の文脈が通じない、アウェーなプロジェクト経験が必要です。

二つ目は、特許や商標などの権利を社外に出すこと。
企業はつい、自社の社員が考えたアイディアや特許を“自組織のもの”とする考えがあり、判例でも会社を擁護する例もあります。
オープンイノベーションならば、コンソーシアムやLLP化等もふくめ、パテントを“参加者の共有物”とし、企業がそこからライセンスを受けるモデルが必要でしょう。

凄く当たり前のことなんですが、オープンイノベーションといいながら、自組織の人間や知識を“組織の所有物”と考える発想を変えないと、新しい世界の扉は開くことはないかも知れません。

では、組織は今後どのように変革していく必要があるのでしょうか?

P.F.ドラッカーは、「ナレッジワーカーはボランティアスタッフとして扱わねばならない」と言っています。これは、知識が生産力の源泉となったためこれを別の要因(金やルール)でつなぎとめておくのではなく、志やモチベーションに注意を払わねばならないということを示しています。
つまり、企業が自社の社員をナレッジワーカーにしたいなら、「なぜこの企業で働くのか?」について社員に対して常に説明をし続け、社員が志やモチベーションを持つきっかけを絶えず作り続ける必要があります。
そう、成功した非営利団体が行っているようなことを企業は学ぶ必要があるのです。
(もちろん、非営利団体というのは“オープン性”が強く求められる組織です。)

オープンイノベーションは、成果物だけでなく、私たちの在り方も自体もオープンへと変革しなければならないことを意味しているのです。