「社内副業」のススメ

副業や複業という働き方に賛成の私ですが、そうした波は確実に来るといわれています。企業マネジメントも新しい課題を迎えていると思います。
そうなると、企業としてもその前にすこし準備運動が必要でしょう。

そこでお勧めしたいのが、「社内副業(複属)」です。

今は会社員は一つの部門や所属に務めることが多いのですが、多くの人が複数の部門所属になるという考え方です。
コンサルやITにみられる、「私はプロジェクトを複数持っている」という形は非常に近いと思いますが、一般の事業会社のライン-スタッフ組織でもそのような形を取っていけばいいと思います。

例えば、「働かないオジサン」が今話題になっていますが、勤続20年もすると、「自分のスキルが一つだけ」なんて人は少なくて、大体、2,3は使えるまたは興味あるテーマはあるものです。
ですから、そういう人は社内でまず副業してもらうわけです。
“社内副業”することで、オジサンの経験と、新しい役職に就いた次世代のパワーが掛け算になります。企業の中での少ないポストをオジサンと中堅や若者が奪い合うのではなく、お互いに知識を共有することができるようになります。資源が限られて自由に行き来できるようになることで、自分のスキルを活かそうとするモチベーションが働くからです。貢献できないなら別の業に携わるか、最初から習いに行くという感じなら“奪い合い”になることはないのです。

さらにその延長として、今度はプロボノを社内に取り入れる。
自社でしか使えない知識ではなく、もっと社会に出て外で貢献することができれば、その経験は会社の中に持ち込むことで新しい価値を生む可能性が出てきます。
新規事業や新しいプロジェクトの気づきになるでしょう。ひょっとしたら、そのまま新しい可能性を見つけて会社を去る人もいるかもしれませんが...
いずれにせよ、外の世界の風を社内にとりこむことで、個人だけでなく組織にも好影響があることは間違いありません。

この二つは、今の「兼業禁止」の人事制度でもできるんです。

そしてこの制度では、プレイングマネージャーの定義も変わります。
プレイングマネジャーは、「自組織に閉じこもって自分で何でもやっちゃうマネージャー」、ではなく、自組織ではマネージャーとして縁の下の力持ちで働き、別の部門ではプレイヤーとして働く。
だから、いつでもどちらの気持ちもわかるからアドバイスもできるし、自分自身も変幻自在な働き方ができる。
プレイングマネジャーとは、そんな人材のことになります。

ナレッジワーカーの時代、こういう組織づくりが必要ではないでしょうか?

そしてくどいようですが、兼業禁止規定のままでも十分できるんです。

部署や自社にちょっとしたカオスと外の風を入れる...
もし、それに躊躇するようなら、イノベーションなんて遠い夢なのかもしれません。