「ソーシャル・リーマンズ」について考える

この度、大手企業の方2人と一緒に、初のコラムを書くことになりました。「ソーシャルリーマンズが行く(仮)」というタイトルです。(詳細は後日ご案内します!)

ソーシャル・リーマンズとは、Social + salaryman の複数系という我々が作った造語です。もちろん、来年の流行語大賞を狙っていることは言うまでもありません(笑)。
ソーシャルなサラリーマンとは、一体どういう人なのでしょう?簡単に言えば、「会社人だけではない社会人であるサラリーマン」 なのですが、イマイチそれではイメージできないと思います。元々造語であるくらいですからそきちんとした類型があるわけでもありません。
ただ、今後コラムを書く3人は、企業人でありながらソーシャル活動に興味を持って活動していることは共通しているのですが、細かく見るとそれぞれのスタイルがあることに気が付きました。
そのスタイルをご紹介して、少しイメージして頂けたらうれしく思います。

●:ソーシャル・ストラテジスト

今、BOPビジネスなど、より社会的課題にビジネスの視点から挑もうとするアプローチが注目されています。グラミン銀行元総裁、ムハマド・ユヌス氏や、「コアコンピタンス経営」等の著者、故P.K.プラハラッド氏等が提唱し大きく広がりを見せているこのBOPビジネスは、ビジネスの力で社会問題を解決する有効性を広く世界に知らしめています。
そしてそれは、本来のビジネスのあり方をも問う、大きな変革テーマと捉えています。

そうした観点から、ソーシャルビジネスの戦略を、企業人(サラリーマン)の立場から描き、実践しようとする人、或いはその観点で新しい枠組みの団体に参加しようとする企業人、等を尊敬の念をこめて、私はソーシャル・ストラテジストと呼んでみることにしました。 ソーシャル・ストラテジストは、企業から社会善に向かうアプローチをビジネスとして実践する企業人(サラリーマン)である、というように定義できるかと思っています。

●:ソーシャル・ジャンパー

一昨年より、日本でも話題になり、昨年より少しずつ広がっているプロボノという新しいボランティア手法が広まってきています。プロボノとは、自身の持つスキルや専門性をビジネスだけではなく、社会貢献にも活用していこうとする活動のことで、ボランティアの一つと言うことができます。今年起こった3.11東日本大震災後、ボランティア自体に興味をもつ方も増えた一方で、単なるボランティアではない、より社会貢献を意識したビジネスマンが、自身のスキルを活用したボランティア形式であるこのプロボノに関心を寄せる事例も増えてきています。

こうした、社会人でありながら、ボランティアやプロボノに積極的に参加する、或いはNPO等の社会貢献組織を設立や参画するという働き方は、勤務する企業と社会貢献に関わる団体の間を自由にジャンプし複数の顔を持つということから、こうした方を尊敬の念をこめて、ソーシャル・ジャンパーと呼んでみることにしました。
昔から、企業人でありながらボランティアする、と言う方はいらっしゃいますが、プロボノ(自身のスキルを社会貢献に生かす)という考え方が、今後、ソーシャルジャンパーのあり方を変えていくのではと期待しています。

●:ソーシャル・インフルエンサー

今は社会起業による社会貢献がより大きなテーマとなり、一部には、「非営利や社会起業のやり方をビジネスに学ぶ」という考えも出てきています。前述のソーシャル・ジャンパー等の方やボランティア経験者がビジネスの世界、特に自社のあり方に大きく影響を及ぼしていくことが考えられます。今後の企業内におけるチェンジリーダーにおそらくこうした「ソーシャルな」考え方や発想を引き込むことが重要であり、それをもって企業の中を変革する。更には、そうした企業が次のソーシャルストラテジスト等を輩出していく...。

そんな、企業にソーシャルな風を吹き込んで影響を及ぼしながら、企業自体を変革する。又その企業が今度はビジネスに社会善を盛り込んで実践する...。こういう循環モデルが出来ていくのだろうと思われます。この仕掛け人に敬意と期待をこめて、ソーシャル・インフルエンサーと呼んでみたいと思っています。


以上、3つのパターンを取り上げてみました。
ソーシャル・リーマンズが全てこの3つのどれかに当てはまるわけでも、或いはどれかが優れているわけでもないと思っています。ソーシャルリーマンはまだ世に出始めたばかりです。上記のように類型を行うことは、ソーシャルに向き合ういくつかのスタイルを明確にしてお互いを認め合い、協力して新しい価値を創出するための目安となればと言う思いです。

サラリーマンでありながら、ソーシャルに関わり、企業や社会を変革する担い手になる。それはサラリーマンのあり方を変える変革にもなるかもしれません。是非、みなさんも一緒に、「ソーシャル・リーマン」像を一緒に考えて頂けたらうれしいです。