会社に元気がない理由

今、とあるグループ企業の事業支援をしています。私が出来る事といえば、その会社の社長の話し相手となりながら、言葉を拾い、紡ぎ、一つの方針として纏めていくことです。それがやがては会社の「戦略」となり、組織の方向性を示すものとなります。


 会社に元気がない、売上が低迷している、社員のモチベーションが低い等、の原因の一つには、次の三つの問題があると思います。
 
「(経営・事業)戦略がない」
「戦略が伝わっていない」
「戦略に対して社員がコミットメントしていない」
 
①:(経営・事業)戦略がない
 
 多くの一般の社員は、経営戦略や事業戦略を策定する機会がありません。良し悪しは別として、事実そうだと思います。
 しかし、多くの社員は、戦略をベースに動いていることも事実です。したがって、これがなければ、何を成すべきか、その土台が不安定になります。土台が不安定になると、何が正しいのか、何を成すべきかが人によって言うことが変わります。そこで議論を終息させるためには、偉い人が言うことが正しい、となります。「●●さんはこういった」「□□さんがこういう方針と言ってた」となり、そのヒエラルキーの序列で正当性が決まってしまうことが起こります。
 こういう状況が続けば、「長いものには巻かれろ」「出るくいは打たれる」となるのも当然の帰結といえます。
 
②:戦略が伝わっていない
 
 戦略が思うように伝わらない理由はいくつかあります。
 その中でももっともらしいのが、「戦略は機密事項なのでマネージャクラスしか説明しない」、「何度も説明できないので、一回のみで一方的に説明して終わり(上意下達)」というものです。
 複雑極まる経済環境の中で、自社が何を成すべきか、どのような方向に行くのかについて、「全員には教えない」「一回しか説明しない」という事がそもそもおかしいのではないでしょうか?
 
 戦略があるなら、それについて自由に質問したり議論する「場」が必要です。そのことにより、次第に「他人事」⇒「自分事」に変化していくのではないでしょうか?
 
③戦略に対してコミットメントしていない
  
 社員や部下に、戦略をコミットメントしてもらう必要なんてそもそもあるのか?とヒエラルキーの上にいる人はそう思うかもしれません。
「戦略を伝えてやっているのだから、そのとおりきちんと実行しろ」では、以前、「フォロワーシップ類型」でも書きましたが、フォロワー、つまり社員が「軍人」化します。
そのような方針の会社で、「近頃の奴は、イエスマンしかいない」と部下に対してこぼすのは不条理というものです。
 これならば、社員は「言ったことだけをやる人」で良いですし、そこには「創造性」はありません。仕事は常に与えられるものであり、自発性より規律・規範が重要になります。
 
 
 少し、戦略にフォーカスして話していますが、元気がない会社にはちゃんとした戦略がなく、社員がそれを自分事のように話すことはありません。
勿論、「社員に元気がないから、戦略が描けない」わけでもないでしょうから、この三つはマネジメントの責務になります。
 
 もちろん、実際の自分の仕事においては、こんなことをエラソーに経営TOPに言うとぶっ飛ばされるので、こう思いつつも、「戦略を教えてください、社員の皆にわかりやすく示しましょう。」「何でしたらちょっと書いて見ますので見ていただけますか?」
と仕掛けています(笑)。
 
 きちんとした戦略を練り、伝え、説明することが、会社を元気にする、第一歩だと思っています。