ものづくり産業王国 ニッポン?

 未だに、多くの書籍やコメントなどで、ものづくり大国〜ニッポン、等といわれることがある。私自身も何を隠そう製造業にもうすぐ20年も勤めている身ではあるのだけれど、正直、「ものづくり大国の中心」にいると、ピンとくることは少ないかなと思うし、メーカーで誇らしいと感じたこともあまりない。これは入社時から今まで、あまり変わってはいない。
 
 確かに、日本は製造業に向けていろいろと政策をうっている国だと感じることがある。最近のメジャーなところでは、エコポイント制度やエコカー減税等に始まり、中小企業政策では製造業が資本金3億円以下または300人以下の場合は、中小企業と定義している。中小企業と定義することで、「世界一メニューが多い」中小企業向け制度(設備投資の減税や融資、信用保証、等)が受けられる。
これは、政府が製造業に力を入れている点として評価できることだと思う。
 
 
 ところで先日、昔から凄い気になっていたがなんとなく買ってしまうといけない気持ちになる本を購入してしまった。プレジデント社のムック本「他人の給与袋全部見せます!」である。
  
 これを見ていると、「本当に日本は製造業にやさしい国なのか?」と考えてしまった。

 それは、社員の給与(年収の平均)のランキングからである。
 
 1位〜10位まで、メーカーはない。20位にも1社もランクインしていない!やっと29位にハンディターミナルで有名なK社が登場するが、上位50社中、製造業は5社ほどしかない。
 ちなみに、上位20社中、メディア(TV)会社6社、金融4社、商社4社
サービス業3社、その他となっている。
 製造業で有名どころ企業では、トヨタ自動車(235位)、ソニー(69位)、キヤノン233位、ホンダ264位、等となっている。
 
 ここでふと思ったのは、製造業は、上位ランクにの企業にはかなり関連が深いこと。
 
 メディアは、製造業などからスポンサー料を得て収入源としているし、対極の金融機関は製造業などに融資する側である。商社は製造業の海外進出などに尽力している。
 こうしてみると、実は製造業から実はマネーや収入を得ている企業の社員の方が、給与が高いことに気づく。彼らは、製造業が稼いだマネーで製造業の社員よりも多くの収入を得ているのかもしれない。

 経団連も歴代の会長が製造業のトップが勤めることになっているが、実際に給与学の総額としては、製造業から収入を得ている企業が多いのはなんとも皮肉なのかも知れない。
 イノベーションで国家戦略を、といっても、モノを生み出さない企業の社員の給与は高いのである。
 これでは、才気と野心にあふれた人材が製造業には流れないし、製造業で得た利益が、上記のような業界の社員の給与に流れている可能性もある。

 製造業を強化することが、結局、そこからカネを得る企業(の社員)を儲けさせることになるのか...?
 
 日本は“ものづくり国家”ではなく、“ものづくり企業からお金を取る国家”という気もして、製造業に勤める私としては、なんともやりきれない気持ちになってしまう...(気づくのが遅すぎるか...苦笑)

 そういや、ウチにも金融機関から役員が天下っているなぁ...商社出身者も...